出会いの喫茶店 恋愛小説

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出会いの喫茶店 恋愛小説

シーツを掴む指先に力が入り、甘い声がもれ、高まる鼓動。耳元でささやく名前に答える吐息。この時だけ満たされる感覚におちいる…そんな夜もある。

お昼

(潤未類喜)「智花ちゃん、アイスコーヒー1つお願い〜!」

(瀬庭智花)「はーい」

ここは喫茶店。私、瀬庭智花。24歳。ここで働き始めてもう4年。一度も染めたことのない黒髪、長い髪は苦手で肩ぐらいのボブカット。

身長は高いほう。

アイスコーヒーを運ぶ。

(瀬庭智花)「お待たせしました。アイスコーヒーです。」

四年も経てば作り笑顔もお手のもの

(りゅうき)「ありがとう。智花。」

常連さんのりゅうき。私目当てのお客さん。

赤髪に沢山のピアス。私があがるまで待っているときは“合図”つまり、外で一緒するっていう合図。私が都合悪いときはコーヒーをサービスする。するとコーヒーを飲み干し、静かに席を離れ注文したものだけ支払いして店をあとにする。

(さゆり)「類喜くーん、喉乾いたぁ」

(潤未類喜)「さゆりちゃんいらっしゃい、何飲む?」

(さゆり)「うーんとね、アイスココア。」

潤未類喜。27歳。クオータで髪の色は金髪、瞳は綺麗な青。マスター。お調子者で明るい性格、でも時々悲しい瞳をする。それは私のせい。私があの人に傷つけられたから。

…さゆり。

さゆりさんは類喜さん目当てのお客さん。派手な髪色に巻き髪、派手なメイク。

ここの喫茶店は訳あり喫茶店。

(瀬庭智花)「類喜さん、お先に失礼します。お疲れ様です。」

類喜さんをまじまじ見るとやっぱり、彼は悲しく目を伏せた。

(潤未類喜)「はいよー、お疲れさまー」

あなたはなにも悪くない。そうはっきり言えたらいいのに…。

裏玄関を抜けたところに、りゅうきが壁に背を預け空を見上げていた。

(瀬庭智花)「星でも見えた?」

そっと、りゅうきの隣に寄った。

(りゅうき)「いや、何も見えない」

(瀬庭智花)「何も見えないのに空見上げていたの?ふふ。りゅうきはやっぱり不思議な人。」

手で口元を押さえたら、その手を捕まれ、引き寄せられた

(りゅうき)「智花程じゃない」

そう言ってキスをした。

りゅうきは口数は少ないけれど優しい。嫌なことは決してしない。

(りゅうき)「ここで上目づかいは反則。」

そう言って、そっと私の手を握り歩き始めた。

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高そうなホテルの前。

(瀬庭智花)「ここじゃないもっと安いところがいい。」

(りゅうき)「普通、女はこうゆうところの方が喜ぶんじゃないのか?」

真っ直ぐ私をとらえる瞳。

(瀬庭智花)「私、もっと安いところ知ってる」

行こうと彼の手を引こうとしたら、

(りゅうき)「俺の他にいるのか、こうゆう関係の奴」

無表情の彼。たぶん、いや、絶対機嫌悪くなってる。

(瀬庭智花)「いないよ、ポケットティッシュ配ってた。」

(りゅうき)「そうか」

そう言ってそのまま、高そうなホテルに入った。

(瀬庭智花)「わぁ綺麗…」

絶対高いよ、ここ。景色も綺麗。

(りゅうき)「おいで智花」

ベットの上に座るりゅうき。側まで近寄る。りゅうきの目の前で止まる私に包み込むように抱きしめるりゅうき。

(りゅうき)「俺の彼女になれ」

そっと服の中に手をすべらせる。

そして、私のお腹の古傷を触る。

(りゅうき)「まだ忘れられないか?あの人が」

忘れたくても、忘れられない。この傷は一生消えない。

“(海喜)俺を好きだと言ってくれ!俺だけを見て!”

(瀬庭智花)「私に彼氏は必要ないよ。辛くなるだけ」

(りゅうき)「俺の気持ちは無視か?」

真剣な顔、でもごめんなさい…私はやっぱり作り笑顔を作ってしまう。

(瀬庭智花)「ごめんね、りゅうきなら、もっといい女性いるよ」

(りゅうき)「ありきたりな言葉で逃げるな」彼はいつも真っ直ぐで、自分に素直だ。

(瀬庭智花)「ごめんなさい…」

そっと首筋に唇を押し当てた。

(瀬庭智花)「私にはこうゆうことしでしか答えられないの」

そう、身体を重ねることだけの関係。

(りゅうき)「俺は智花のすべてが知りたい、抱いているとき…俺を感じてるか?」

古傷にキスをする。何度も何度も。

(瀬庭智花)「ごめんなさい…ごめんなさい…ぅ」

(りゅうき)「分かった。もう泣くな、困らせて悪かった。今日は何もしない。ただ側にいて、朝まで一緒に居てくれ」

私は大きく頷いた。

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翌朝

目が覚めたとき、私の左手が彼の手で覆われていた。りゅうきの温もり…。そっと彼の手の甲にキスをした。

(りゅうき)「そうゆうことするから襲いたくなる」

(瀬庭智花)「起きてたの?」

(りゅうき)「今起きた」

(瀬庭智花)「昨日の話だけど…」

(りゅうき)「あの話は忘れていい、今までどうりでいいから、側にいてくれ」

(瀬庭智花)「…うん、分かった」>

まっすぐな瞳。彼の瞳は素直で好き。嘘がないもの。

(瀬庭智花)「おはようけございます」

(潤未類喜)「おはよ。智花ちゃん」

(瀬庭智花)「キスマークついてるよ。」

(潤未類喜)「え?!うそ!?どこ!?」

焦る類喜さん

(瀬庭智花)「またさゆりさんとしたんだね。ふふ。嘘だよ。本当、類喜さんは分かりやすい。でも、さゆりさんは気をつけて、悪い噂ばかり耳にするから。」

(潤未類喜)「はは、大丈夫だよ、さゆりちゃんはそんなに悪い子じゃないよ?」

何も分かってない。欲しいものはどんな手を使ってでも手にいれる。一番厄介。何の問題もなければいいけど…

数時間後

カラン。

(瀬庭智花)「いらっしゃいませー」

…嫌な予感…。

(男1)「類喜って奴いる?」

(男2)「俺の可愛いさゆりにちょっかいだしたんだって?」

(瀬庭智花)「ここのコーヒー美味しいですよ?一杯どうですか?」

ニッコリと作り笑い浮かべるも…

(男2)「そんなこと聞いてないんだけど?」

カラン。

このタイミングでお客さん?

(瀬庭智花)「すみません、今準備中…海喜さん?」

(潤未海喜)「久しぶり智花、会いたかった。」

何で…

(瀬庭智花)「海喜さん…」

(男2)「お客さん〜?悪いけど今お取り込み中ー。じゃまだからまたにしてくれない?」

(男1)「類喜って奴いないみたいだし、取りあえずこのこ、連れて行けばいいんじゃない?可愛いし」

(男2)「そうだな、暇つぶしにはなるか」

気持ち悪い視線を私に向ける男2人。男の1人が私の腕を強くひいた。

(瀬庭智花)「痛い!離して!」

(潤未海喜)「智花に触るな」

さめた声。

(瀬庭智花)「海喜、私大丈夫だからね?」

彼は普段は穏やかな人。

でも、怒らせると止められない。どうしよう…

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カラン。

(潤未類喜)「ただいまー。…海喜?」

状況を把握できていない彼。

(瀬庭智花)「あの人が類喜です!類喜!!全力で逃げて!早く!」

(男2)「お前か!俺のさゆりをもて遊んだのは!」

(潤未類喜)「え?何?!」

(瀬庭智花)「いいから逃げて!」

男が私の腕を放した瞬間、私は海喜に飛びついた。

(瀬庭智花)「海喜、もう私大丈夫だからね?…だからその右手に握ってるナイフ置いて?」

カランと音を立ててナイフが落ちた

(潤未海喜)「智花…智花…会いたかった」

(瀬庭智花)「私も会いたかったよ、海喜」

私の手は震えていた。恐怖で…潤未海喜。類喜の双子の弟。黒髪に瞳は類喜と同じ青色。

3年前

私は海喜とつき合っていた。3人で喫茶店で働いて、毎日が楽しかった。

ある日の夜

類喜と2人でいたとき、

(類喜)「智花ちゃん海喜のどこが好き?」

真剣な眼差し。

(智花)「私を甘やかしてくれるとこかな」

(類喜)「はは、なんだそれ!」

(智花)「上手く言えないけど私が私のままでいられるとこかな。自然体でいられる」

(類喜)「そっかぁ、あいつ、俺と違って思ったこと素直にいわないからな、最初心配だったんだ。でも安心したよ」

目を細めて笑う類喜。

(海喜)「何してんの?」

(智花)「あ、海喜!今ね、類喜と私達の話してたの!」

…何か様子がおかしい。

(海喜)「俺の悪口?それとも別れ話の相談?」

(智花)「違うよ!何言ってるの?どうしたの?」

(類喜)「お前、もしかして飲んでるのか!?…智花ちゃん、たぶん海喜悪酔いしてる。離れて」

類喜が海喜に背を向けて私に声をかけた瞬間、海喜が何かを振り上げたのを見て、とっさに前に出た。お腹に痛みが走って身体を丸めた。海喜はずっと繰り返し言っていた“智花は俺のもの”と。

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現在

あのときと同じ海喜からアルコールの臭いがする。怖い…でも、冷静でいなくちゃ。海喜は精神科へ入院することになって遠くに引っ越したって聞いた。何故戻ってきたの?私はもうあなたを受け入れられないのに…。類喜!早く戻って来て!

カラン。

戻ってきた?!…

(瀬庭智花)「りゅうき…」

(りゅうき)「智花どうした?」

(海喜)「誰、こいつ」

(瀬庭智花)「何でもないよ!ただのお客さんだよ?コーヒーでいいよね?海喜のも入れるね、座って待ってて?」

(海喜)「わかったよ。智花の入れてくれるコーヒー久しぶり。楽しみ」

瞳を細めて笑う彼に複雑な気持ちでいっぱいだった。

りゅうきはきっと気づいている。私のお腹に目線を向けていたから。でもね、彼は覚えていないの。私を刺したこと。

コーヒーをそそぎおえたころ、タイミングよく類喜が戻ってきた。

(類喜)「すっごい怖かったんだけど!…智花ちゃん大丈夫?」

小さくうなずいた。

(りゅうき)「智花と付き合ってる」

唐突に嘘をつく彼に静かにしていた海喜が豹変した。

(海喜)「何言ってんの?智花は俺のものだよ?」

低い声、冷たい瞳。

(りゅうき)「こんな事しといてか?」

そう言って私のところまで来て勢いよく服をお腹までめくりあげた。

(瀬庭智花)「!りゅうき?!止めて!」

(りゅうき)「止めない、これのせいで智花は前へ進めないでいる。」

(海喜)「智花!どうしたの?!その傷跡!」

(りゅうき)「お前がつけたものだ!」

怒鳴った、りゅうきが、初めて聞くりゅうきの怒鳴り声。

(海喜)「知らない!俺じゃない!…違う!」

(類喜)「落ち着け!りゅうきくんも止めてくれ!」

(りゅうき)「このまま、智花を縛り付けとくつもりか!?」

(類喜)「それは…」

(瀬庭智花)「私、海喜を愛してたよ。これは嘘じゃない。でも、今は…違う人を愛してるの、これも嘘じゃない。私たちはもう過去の関係だよ」

その言葉に彼は泣き崩れた。

翌朝

電話が来て海喜は施設から抜け出したらしい。昼に車で類喜が送り届けることになった。

喫茶店

お客さんが一人

(りゅうき)「愛してる人いるのか?」

(瀬庭智花)「いるよ、目の前に」

動きが止まるりゅうき。

(りゅうき)「本当か?」

(瀬庭智花)「好きでもない人とあんなに肌重ねたりしないよ、ずっと彼のこと引きずってたの、でももう解決したし。曖昧は嫌だからさ」

(りゅうき)「じゃぁ今度はYESだよな?」

(瀬庭智花)「うん、よろしくお願いします。」

りゅうきとなら後悔しない生き方が出来そうな気がした。

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