村の呪縛〜日常系小説

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村の呪縛〜日常系小説

朝食のいい匂いがどこからともなく漂ってきて、僕はお腹の音と一緒に目を覚ました。

今日はおばあちゃんの住む村に来て三日目。初日こそ、和式のトイレや畳など、我が家とは違う日本家屋の作りに違和感を覚えていたが、三日も過ぎるとこの生活にも慣れてしまっていた。

布団から出て着替えていると「大地(だいち)、ご飯だよ。」と僕を呼ぶお母さんの声が聞こえた。

「はあい」というやる気のない返事をして、僕はおばあちゃんとお母さんの待つ居間へと向かった。

おばあちゃんの家では、我が家よりも朝ごはんがちょっぴり豪華だ。

おばあちゃんの家の裏の畑で採れた野菜や、近所のおじちゃんがくれた鶏の卵など、ご飯に使われているのはどれも特別な食材だから、という理由もある。だけど、おばあちゃんが料理上手というのが一番の理由だと思っている。

別にお母さんの料理が下手くそな訳ではない。おばあちゃんは、食材の使い方が上手い、と言うのだろうか。いい表現が浮かばないが、とにかく料理が上手で、どれも全部おいしいのだ。

そんな事を考えながらご飯を食べ、味噌汁を啜っていると、出汁のいい香りが鼻腔に抜けていった。気づけば、ちゃぶ台に所狭しと置かれていた料理は全て無くなっている。僕のお腹も十分に満たされていた。

朝食を食べ終え、僕はおばあちゃんとお母さんに声をかけて外へと出た。家の中で退屈にしているよりは、外にいる方がよっぽどましだと思う。僕は近くの木に登って、ぼんやりと空を眺めていた。

最初の方こそ、都会では全くお目にかかる事のできない、この豊かな自然にときめいて、色々な場所を駆け回っては虫を捕まえてみたり、川で魚を捕まえてみたりと、ヘトヘトになるまで遊び回った。

だけど、三日も経つと飽きてしまうものだ。そもそもこの地区には、誰一人として子供がいないのだ。誰も遊び相手がいない中、一人我を忘れて楽しむほどにはこの場所への熱は残っていなかった。

木から飛び降りて、一度家の方へと戻った。

木の上は日を遮るものが何もないため、ものすごく暑かった。既に僕の背中はじんわりと湿っている。

庭に入り、縁側から家の中を覗き込むが、おばあちゃんやお母さんの姿はなかった。奥から話し声が聞こえるため、出かけている訳ではないようだ。裏手にある畑へと回った時、ある事を思い出した。

「大ちゃん、ここは田舎で寂しいところかもしれないけど、見たことないものとか、色んなものがあるから、毎日好きに遊びに行きなさい。だけどね、畑の裏に森があるでしょう。森の奥は山に繋がっていて、とっても危ないから、絶対に森の奥へは行っちゃダメよ。」>

一日目、おばあちゃんの家に来てまもなく遊びに行こうとした僕に、おばあちゃんはこう言った。その時は、小川とか林とかの方に夢中だったせいで、すっかり抜け落ちてしまっていた。

思い出してしまったからには、僕の好奇心に歯止めはきかなかった。もう一度家の方を覗き込んで、近くに誰もいない事を確認し、足音を立てないように森の中へと足を踏み入れた。

奥へ行けば行くほどに、心臓の鼓動は、速く、そして大きくなっている。地面は木漏れ日に照らされていた。首筋に伝う汗を拭いながら、一歩、また一歩と進んでいった。

平坦だった地面には、少しずつだが傾斜がかかってきていた。この先には何かある、僕はそう確信しながら進んでいった。

傾斜が大きくなってきたところで、僕は期待に胸を膨らませながら、顔を上げ、奥を見た。だが、奥には同じような景色が続いているだけだった。

僕は近くにあった岩に腰かけ、ため息をついた。そもそもおばあちゃんは「危ないから行くな」と言っていただけで、奥に何かあるとは一言も言っていない。つまり、全ては僕の勘違いだったという事だ。

気持ちを切り替え、さっさと帰ろうと思って立ち上がろうとしたその時だった。山のどこかから、足音が聞こえた。

僕はその音の正体を探そうと、立ち上がって辺りを見渡した。すると、山の上の方から、こちらへと歩いてくる小さな人影が見えた。

僕は未知との遭遇に緊張しながらも、その人影の方へと歩み寄った。

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強い風がふき、辺りの木々の葉を持ち上げた。人影は木漏れ日に照らされ、姿を現した。

現れたのは、一人の少年だった。こちらを見て、驚いたように目を丸くしている。背丈は僕と同じくらいなのだが、小麦色に焼けた僕の肌とは対照的に、彼の肌は透き通るほどに白い。

僕は緊張しながらも、恐る恐る声をかけてみた。

「君、この山に住んでるの?」

少年はじっとこちらを見つめている。

「うん。君はどこに住んでいる?」

「この山の麓よりも下の、平地の方だよ。」

そう言うと、少年は「そうか」と息をついて、近くにあった岩場に腰を下ろした。釣られて、僕も先ほど座った岩に腰を下ろす。

昨日、お母さんに「この辺に俺と同い年の子供はいないのか」と聞いた時、お母さんは「閉鎖的なせいで、過疎化に拍車がかかってるし、この浅牙(あさが)の地区にはいないよ」と笑っていた。

でも、この子は明らかに僕と同じくらいの年齢の少年だ。恐らく、おばあちゃんもお母さんもこの山の住人の事を知らないのだろう。

「あのさ、この山はとっても危ないから入っちゃダメだ、っておばあちゃんに言われたんだけど、君はこの山に住んでても大丈夫なの?」

少年は遠くの方を見つめながら、僕の問いに答えた。

「僕は生まれてこの方、この山から一度も外に出た事が無かったけれど、今まで特に危険な目にあった事は一度もない。逆に兄達からは、この山を出る事が危険だから、決してこの山を出てはいけないと言われていたんだ。」

「だから、今日ここで僕らが出会った事は、二人だけの秘密にしよう。」

カグラは口に人差し指を立てた。僕らは静かに頷くと、握手を交わした。僕らは似た者同士で、これからもっと仲良くなれる。僕の直感がそう言っていた。

「僕、久倉大地(ひさくらだいち)。大地って呼んでよ。」

「僕の名前はカグラ。よろしく、大地。」

お互いに手を離すと、カグラは僕の方を見つめて話を始めた。

「この山の頂上付近の、高い石壁に囲まれた場所で僕は暮らしているんだ。壁には門なんてないから、出る事は出来ない。多分、普通ではない環境なんだと思うんだけど、僕は外の様子を知らないから、本当にそうなのかは分からないんだ。」

「えっ、じゃあカグラはお兄さんたちとその場所に閉じ込められているって事?そんなの普通じゃない、あり得ないよ。食べ物とかはあるのか?助け呼ぼうか?ていうか、もしかしてここも壁の中なのか?僕、間違えて入っちゃったか?」

頭に「監禁」という言葉が思い浮かんだ僕は、あまりの衝撃に、矢継ぎ早に話してしまった。カグラは驚いたような顔をしている。

「壁の中には、家以外にも田畑があるし、食べ物は問題ないんだ。壁の中っていう閉塞感はあるけれど、生まれてからずっとそうだから、兄さんたちも皆この生活を当たり前に受け入れている。だから、助けとかはいらないよ。後、壁はもっと上にある。ここは壁の外だよ。僕が抜け出してきたんだ。」

その生活は、外の世界に住む僕からしてみたら、明らかにおかしいものだった。恐らく、多くの人がそう感じるに違いないだろう。だけど、カグラはそれを当たり前のように受け入れており、「助けはいらない」と明言している。カグラも、壁の中の住人も同じ感覚なのかと思うと、背筋が寒くなった。村の人たちはこの事に気がついていないのだろうか。

「高い壁があるなら、どうやって抜け出してきたんだ?そんな壁があったら目立つだろうし、今までに誰か助けようとしてくれた人はいないのか?」

「適当に作られた壁だからね、探してみたら、奥の方に一箇所だけ壊れている部分があったんだ。そこから抜けた。そもそもこの山自体が木々に覆われているし、麓から壁なんて見えないんじゃないかな。」

話が途切れたところで、カグラはハッとしたように顔を上げて空を見た。太陽は、もう少ししたら真上に来るぐらいの高さだった。すると、カグラは勢いよく立ち上がった。

「ごめん、もう少しで昼食だから、その時間にいなければ怪しまれてしまう。僕はもう帰るから、昼すぎに来れるなら、また話をしよう。」

カグラは僕の返事を待たずに、そのまま森の奥へと消えていった。

僕はその背中をぼうっと眺めていたが、僕も昼食に遅れてしまうと気がついて、慌てて山を下った。ふと、カグラの言っていた事を思い出し、おばあちゃんの家に着いた時、僕は山の方を見上げた。

頂上の方に、変わったものは何も見えなかった。

僕は昼食後も二人の目を盗んで山を登った。

先ほどカグラと話した同じ岩に腰掛け、カグラが来るのを待った。

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昼下がりの森の中でも十分暑く、座っているだけでも汗をかいた。汗を流しながらしばらく待っていると、カグラは駆け足でこちらに降りてきた。カグラが岩に座り、呼吸が元どおりに戻ってきたところで話は始まった。

「さっきは話を途中で切っちゃってごめん。もう一度話すけど、僕は山の頂上にある、高い石壁に囲まれた場所で、三人の兄と暮らしている。兄達は、壁の外は俗世だから、行ってはいけないと言っていた。僕は今まで、ちゃんとその言いつけを守ってきたんだ。」

話を聞き、再び先ほどのやりとりを思い出した僕は、頭が痛くなった。どう考えたって、山の中に監禁なんて、ありえない。いくらなんでも、非日常的すぎる話だ。

「お兄ちゃんたちがこの事に気づいてないなら、カグラが教えてやればいいじゃないか。そして、一緒に逃げてくればいいよ。」

カグラは静かに首を横に振る。そして、僕の目を見て口を開いた。

「僕よりも兄達はずっと長くここに住んでいるんだ。気づいていない訳はない。それでいて、敢えてここから出ないようにしているんだと思う。理由は分からないけれど、とにかくあの壁の中を守ろうとしている気がするんだ。」

「気づいてるなら、山の頂上で引きこもって生活してるなんて不便なんだから、壁の外に出ちゃえばいいのに。どうして壁の中を守ろうとするんだ?」

「僕は、この壁の中に何か秘密があって、それを隠蔽しようとしているんだと思っている。」

カグラは俯きながら、そっと囁いた。

辺りを涼しい風が通り抜けていった。

僕はゴクリと唾を飲んだ。山の頂上にひっそりとある石壁の区域。その中には誰も知らない秘密が隠されている。

考えれば考えるほど、僕の好奇心は駆り立てられていく。

「じゃあさ、その秘密ってやつを探してみようぜ。面白そうじゃない。」

カグラは少々驚いた顔をしている。目をぱちくりさせながら、話を続けた。

「でも、秘密があるっていうのは僕の予想であって、そうとは限らないじゃないか。それに、外の世界に住む大地が危険を犯せば、どんな目にあうか分からない。やるなら僕だけでやるよ。」

「大丈夫、僕この村に住んでる訳じゃないし、どのみち後三、四日でいなくなるから。何かあっても絶対逃げられるよ!」

僕が威張りながら胸を叩くと、カグラはそれを見て嬉しそうに笑った。

「壁の中にいるとさ、面白い事なんて何一つないんだ。だから、こうして心から笑うのはすごく久しぶりなんだ。こうしていると、僕らなら何でも出来ちゃうって、勘違いしちゃいそう。」

「勘違いしていいじゃん。一人じゃ無理でも、二人なら出来ちゃうかもしれないだろ。」

寂しそうに笑っていたカグラの手を握り、僕は思い切り笑った。

その時のカグラは、心から笑っているように見えた。こうして、期限付きの僕らの小さな冒険が始まった。

もちろん、結末なんて見えないし、どんな秘密があるのかも分からない。そもそも秘密なんてないのかもしれない。だけど、この冒険の先には必ずいい結末が訪れる。僕はなぜだかそう感じていた。

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「大地、待たせてばっかでごめん。」

おばあちゃんの家に来て四日目、約束通り、僕らは朝から秘密の話し合いを始めた。僕よりも遅れてきたカグラは、何冊かの本を手に持っていた。僕は今朝のおばあちゃん達との会話を思い出していた。

「朝、おばあちゃん達に『この森の奥の山には何かあるの』って聞いてみたんだ。そしたら『木の管理とかが行き届いてないし、地面が崩れやすいから危ないだけで何もない』って言われたんだ。おばあちゃん、嘘ついてるのかな。」

その時、カグラはきょとんとした顔をしていた。

「いや、山には女の人がいないし、見た事もないからさ、おばあちゃんとかっていう響きがしっくり来ないんだ。今まで書物の中でしか名前を聞いた事がなくてね。」

「そうなんだ。女の人を見た事ないなんて、何だか変な感じ。本当にお兄ちゃんとしか暮らしてないんだね。お兄ちゃんって三人だっけ?カグラとお兄ちゃんって何歳なの?」

カグラは首を捻った後、困ったように答えた。

「一番下の僕は確か十二だと思うんだけど、後は分からないなぁ。みんな年がバラバラだし。」

「そうなんだ、僕も十二歳なんだよ、一緒だね。カグラのお兄ちゃん達、年上なんだね。」

「そうだね。一番上なんて、僕にとって見たらおじいちゃんみたいなもんだよ。頭なんて真っ白だし。」

そう言って笑うカグラをよそに、僕はカグラの言葉を頭の中で反芻していた。子供の僕ですら、一番上のお兄ちゃんが、頭に白髪ができるほど年上というのはどう考えてもおかしいと思った。

それが本当なら、カグラを生んだお母さんは、僕のおばあちゃんと同じ年齢であってもおかしくない。いくらなんでも高齢な女の人が赤ちゃんを産めるはずはない。僕の頭の中はぐるぐると回り、訳が分からなくなってしまった。

「カグラ、それおかしいよ。カグラの言ってる事が本当なら、カグラのお母さんはものすごいおばあちゃんになっちゃうよ。」

カグラは黙って考えた後、「確かにそうかも」と答えたが、「でも僕、お母さんを見た事がないから、おかしい理由とか、その実感がわかないんだ」と言って悩み始めた。

僕は「後でお兄ちゃんに聞いておいでよ」と適当にごまかし、深くため息をついた。

話せば話すほど、話がこんがらがって、どんどん難しくなっていく。岩から立ち上がり、近くの木にもたれかかった。カグラは地べたに寝転がっていた。

その時、何かを思い出したカグラが飛び起きた。

「あ、本の事忘れてた。見る?」

僕は背を起こし、頷くと、カグラは僕の隣に座って静かに本を開いた。本には、筆で書かれたようなぐちゃぐちゃとした文字が並んでおり、僕には読めた物ではなかった。

「なにこれ、僕こんな文字は読めないよ。カグラは分かるの?」

「これは崩した文字なんだ。僕が読む本はいつもこんな文字で書かれてるよ。」

本の中身は至ってシンプルだ。上に数字、下に名前が書かれた表が、何十ページと続いている。どのページも、同じような字の形で書かれている。表の上の段に書かれている数字は、千ぐらいの数から始まり、ページをめくるにつれて、どんどん増えている。数字を見ていた僕は、ふとある事に気がつく。

「ねえ、この数字、二十ずつ増えていってない?」

前後のページを確認するが、やはりどのページでも、数字は二十ずつ増えていっていた。

「本当だ。何か意味があるのかな。」

下の段に書いてある、名前らしき文字を見ながらパラパラとページをめくっていると、所々塗りつぶされている部分があった。塗りつぶされている部分の横に名前が書かれているものや、列ごと塗りつぶされて新たな列が作り足されているものもあった。

そうして適当にめくりながら本を見ていると、あっさり十ページくらいで白紙のページに差し掛かった。その後にもページは続いているが、何も書かれていない。白紙になる一番最後のページを読み返した。一番最後の表では、数字は二千を超えていた。名前は墨字で塗りつぶされた横に書かれていた。>

「大地、これが読めるか。これ、神と楽って書いてるよな。」

カグラは突然、がたがたと手を震わせながら、表の最後の名前、塗りつぶされたものの横に書かれた文字を指差した。僕はじっとその文字を見つめる。言われてみれば、神とか、楽っていう字に見えなくもない。僕は何の気なしに「そうじゃないかな」と言うと、カグラは突然早口でまくし立てた。

「これは僕の名前なんだ。神と楽、これでカグラと読むんだよ。小さい頃は、自分の名前に漢字があると思っていなかった。だけど、ある日兄さんが『神様の神に、苦楽の楽と書いて、カグラと読むんだ。これが、カグラの漢字だ。』と、教えてくれたんだよ。」

神楽、と書いてある部分の隣の列を順番に指差すと、また口を開いた。

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「これ、カグラの前の列にある名前、この三つの名前、全部兄さん達の名前だよ。」

僕には読めないが、カグラはこれが兄の名前で間違いないと、確信しているようだった。

結局、この本は山に住んでいる人達の名簿なのではないかという事で落ち着いた。表の上段にある数字は、下段に書かれた名前の人が生まれた年であるようだ。その結果、お兄さん達の年齢は皆二十ずつ違う事が分かった。

「ていう事は、一番上のお兄さんって七十二歳なの?」

僕は驚いて、声をあげた。

カグラは口に人差し指を当てながら話を続けた。

「年齢から考えても、僕らは全員親が違うと考えた方がいいよね。親が違う、二十歳も歳が離れた人同士が集まってるなら、なおさら互いに兄弟と呼び合うしかない気がするな。」

昼前までの話はここで終わった。

僕らは昼食後もここに集まって話そうと約束を交わした。

話の内容の濃さに、僕の頭はクラクラしていた。なんだかどんどん難しい話になっているような気もしているが、引き返そうなんていう気には、今更なれるはずもはなかった。

昼食後、僕はすぐに家を出た。裏の畑から向かうよりは時間がかかるが、玄関から出て山へ向かうルートを使い、二人に怪しまれる事なく例の場所へ到着した。

そして、少し遅れてカグラはやってきた。

手に持っていたのは、朝持っていたものとは違う本だ。岩に腰掛けるなり、カグラは話を始めた。

「今、明日の神事(しんじ)の練習をしてたんだ。明日は大雨になるらしくって。」

「神事って何?」

僕は聞きなれない単語に首を傾げた。カグラは驚いたような顔をして僕を見ていた。

「神事は神事だよ。大雨が降ったり、悪い事が起きた時に、下界の邪気を払うために神様にお祈りする事だよ。僕らは神に近い神聖な人間だから、こうして下界を救う事で、下界から色々な贈り物を貰っているんだ。」

「贈り物?村の人達がカグラ達に何かを上げているって事?」

「多分そうだと思うよ。僕は大地以外に下界の人間を見た事がないから分からないけど、いつも神事の次の日には沢山の贈り物が届いてるよ。例えば着物とか、果物とか。」

村の人たちはどうやって贈り物を届けているのか、逆にカグラ達はどうやってそれを受け取っているのか。下界の人たちと関わらないようにと壁を作っているのに、どうして接触しているのだろうか。僕には分からない事だらけだ。

「壁の中に、両側から開く棚みたいなのがあって、いつもその中に贈り物が入ってるよ。いつ届くのかは分からないけど、いつも朝に取りに行ってるから、夜の間かな。」

分かったような分からないような感じだった。両側から開く棚なんて見た事がない。その時、僕の頭の中にとんでもないアイデアが浮かび上がった。

「いい事思いついちゃった。僕が夜にこっそり山まで行って、贈り物は誰が届けているのか見てみるよ。そしたらこの山の秘密を知っている人たちの事が分かるんじゃないかな。」

「それは危ないからだめだよ。どうやって夜に山に入るんだ。それに、夜の山は本当に真っ暗で何も見えない。大地に何かあったら困る、やめた方がいいよ。」

一度火がついた好奇心は、そんな事では収まる気配がない。我ながら、いたずらに関してだけはよくも色々な考えが頭に浮かぶものだと感心してしまう。

僕は得意げにカグラに話した。

「大丈夫だよ、寝たふりしてちょっと見に行くだけだよ。それに、そんなに暗いなら、山に行く人だって灯りを持ってるはずだよ。その人たちの持ってるあかりがあれば見えるよ。」

カグラは困ったような顔をしながらも?結局本人も興味があったに違いないのだが?「危なかったらすぐに戻ってね」と言って、しぶしぶ僕の提案を承諾してくれた。

その後、僕らはカグラの持ってきた本を一緒に読んだ。本の内容は、この山についての歴史のようだったが、難しい言葉ばかりで、流石のカグラも全部は読む事が出来なかった。

「二十年毎に神の使いが山に降りてくる、みたいな事かな。後、神事で唱える祝詞の意味だね。あんまりここは分からないけど。後のページは、模様の入れ方かな。神の使いは、へその部分に模様が入ってるんだって。壁の中の住人は、神様に近い人って兄さんも言ってたし、僕らの事だね。僕にも、僕の兄たちにも入っているよ。」

「え、お腹に模様があるの?どうやってつけたの?」

「あるよ。刺青とかって言うんじゃないのかな。あんまりそこは分からないけど。」

刺青という聞きなれない単語に、僕は首を捻った。ふと、僕がいつも行っていた市民プールの看板に「刺青」という言葉が書いてあった事を思い出すが、それが何かは知らなかった。

僕は空を見上げながら、カグラの事を考えた。こうして近くで話しているけど、カグラは神様の使いの人なのかと思うと、なんだか遠く感じてしまう。

その後は特に話も進まず、カグラは神事の準備のために早く帰ると行って、夕方になる前にはさっさと帰ってしまった。僕は、遊びに行った証拠にするためにも、ポケットにバッタを突っ込んで家へ帰った。帰宅後、虫嫌いなお母さんにこっぴどく怒られたものの、カグラの事がバレるよりはましだと思った。

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おばあちゃんの家に来て今日で五日目。朝起きると、本当に雨が降っていた。朝ごはんを食べ終えた僕は、縁側に座って雨の降る様子を眺めていた。しとしとと降っていた雨は次第に強くなり、地面には大きな水たまりができた。

お母さんには「濡れてしまうから家に入りなさい」と言われたが、僕はこの雨をずっと見ていた。

この雨を晴らすために、カグラは祈りを捧げているのだろうか。カグラは雨に濡れていないだろうか。色々な心配事が頭に浮かんで弾けた。カグラの事を考えると、不安になって仕方がなかった。

夕方、雨はピタリと止んだ。赤く染まった空が、雲の隙間からのぞく。そのうちに空は紫色に変わり、辺りはあっという間に暗くなった。

夕飯を食べ終えた僕は、誰よりも早くお風呂に入った。そして、お風呂あがりに懐中電灯をそっとくすねて、寝たふりをして時が過ぎるのを待った。瞼はすごく重いが、緊張で寝る事は出来なかった。

家の中が静かになったのを確認し、僕は布団を出た。少し布団を膨らませて、あたかも僕が寝ているように見せかけ、部屋を後にした。

足音を立てないように玄関から靴を取り、縁側から外に出る。外には灯など一つもなく、本当に暗かった。

僕は懐中電灯をつけて足元を照らしながら、カグラと話すいつもの場所まで向かった。虫の音や風の音が響き、僕は好奇心と恐怖に板挟みにされながら静かに山を登った。

例の場所へ来る頃には、全身は汗でベタベタになっていた。そして、そこからさらに上へと向かった。無我夢中で登っていると、突然目の前に石の壁が現れた。下ばかり見ていた僕は壁にぶつかり、驚いて地面に倒れた。

苔むした古い石壁は左右に続いているが、右側に一箇所だけ崩れている部分があった。いつもカグラはここから出入りしているのかと考えると、なんだか親近感がわく。

そのまま壁を伝って歩き続けていると、山の下の方に灯りが動いているのが見えた。僕は怖くなり、咄嗟に懐中電灯を消して近くの木に隠れた。

蠢く灯りはどんどん増えており、山を登ってくる。よく見てみると、何か物を抱えている人たちの集団である事が分かった。こちらに気がついていないうちに、もう少し離れた木に隠れ直し、そっと顔を覗かせて様子を見た。

山を登っている人たちは全員で十人程度で、歳をとった人ばかりのようだった。集団の先頭には、和服のようなものを着た、神社によくいるおじさんのような人が歩いていた。

僕は一人でも多くの人を覚えようと、目を皿にして見ていた。集団を見つめていたその時、僕の心臓が凍りついた。集団の真ん中にいる女の人は、僕のおばあちゃんだったのだ。

見間違いではないかと、音を立てないように近づきもう一度顔を確認するが、やはりおばあちゃんで間違いない。着ている服も、おばあちゃんが家で着ている物と同じものだ。

僕は動揺しているが、頭だけはしっかり働いているようだ。こんな事態にもかかわらず、好奇心から色々なアイデアが溢れ出る。

集団は、僕のいる木々の辺りを通過し、どんどん上の方へと登っていく。僕は木々の隙間から身を乗り出し、集団の方へ向かって小枝を投げつけた。

集団の方から「きゃあ」と悲鳴が上がった。登っていく灯りの動きがその場で止まった。

僕は近くの木に隠れ直し、集団の様子をじっと見つめる。最初に喋り出したのは、先頭にいる、和服の神社の人だった。

「うるさいぞ、神聖なこの山で、下界の人間共が大声をあげるなどあってはならん。」

「宮司様、大変申し訳ございません。」

僕の投げた小枝が当たったと思われるおばあさんが、宮司さんという人に向かって、必死に頭を下げていた。

周りの人達も次々に「申し訳ございません」と言いながら頭を下げていく。その声を聞き、僕は真ん中の人物がおばあちゃんであると確信した。

「後ろから小枝が飛んできて、それが当たって動揺いたしました。」

「小枝なぞ気にするな。馬鹿馬鹿しい、これだから下界の者は。」

宮司さんが「行くぞ」と言うと、頭を下げながら、皆次々と山を登って行った。僕が小枝を当てたおばあさんは、集団の少し後ろを歩いている。

そのまま集団が山へ登っていくのを見ていると、しばらくして、上の方で灯りの動きが止まった。そして灯りは消え、念仏のようなよく分からない声が聞こえだした。

念仏の声が聞こえなくなってから少し経つと、山の上にはまた灯りがついた。集団は山を降り始めた。先ほどまで彼らが抱えていた物は見当たらない。

集団が僕のいる場所を過ぎていった時を見計らい、僕は木の後ろに隠れるようにしながら、集団の後を追った。すると、麓に到着する手前で、集団の動きが止まった。僕は慌てて身を隠した。

「今日はこれでおしまいです。下界の皆さんは、くれぐれも神聖なる山で無礼をしないよう気をつけてくださいね。では、失礼。」

「ありがとうございました。」

おばあちゃんたちは皆兵隊さんのように一斉にお辞儀をした。

宮司さんだけがその様子を見届けて、他の道へと入った。集団の方は麓の方へ向かった。

おばあちゃんたちの雰囲気から考えても、この宮司さんが何か秘密を握っているに違いない。そう思った僕は、眠たい目をこすりながら、一人山の方へと戻る宮司さんの後をつけた。

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宮司さんは案外早いペースで歩いていく。僕は足音を立てないよう、距離を取りながら歩く。

道は、特に多く木が生い茂っているためか、とても暗い。宮司さんの持つ灯りが木々に反射し、一層明るく見えた。すると、突然灯りが消え、僕は一人暗い道に取り残された。慌てて前へ進むと、やがて開けた場所へと出た。

そこには、森に隠れるようにひっそりと佇む大きな家があった。宮司さんは家の方へと進んでいった。

宮司さんが家へと入ったのを確認し、僕は懐中電灯をつけて、林の方から回り込むようにして、その家へと近づいた。

家の裏手にある、縁側の方へと近づいた僕は、懐中電灯を消した。

縁側の襖は全てしまっており、家の中は何も見えない。足音を立てないよう近づき、耳をすますが、やはり物音一つ聞こえない。結局僕はその家を後にして、迷いながらおばあちゃんの家を目指す事になった。

かなりの時間迷ってしまったせいで、おばあちゃんの家の縁側に戻る頃には、片方の空は明るくなり始めていた。

足音を立てないように玄関に靴を戻し、部屋に戻った。そして、静かに布団の中に入り、そのまま寝てしまった。

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激しい眠気に襲われている中、お母さんは僕の布団を叩いて、僕を無理やり目覚めさせた。瞼はずっしりと重く、気を抜けば今にも眠ってしまいそうなほどであった。

顔を洗っているうちに、昨晩の出来事が頭の中に次々と浮き上がってきた。その事は今は忘れようと、頭から水をかぶった後にタオルで顔を覆った。

朝ごはんの時、食卓におばあちゃんの姿は見えなかった。お母さん曰く、疲れていてまだ寝ているそうだ。

朝ごはんを平らげ、部屋に戻った僕は、床に転がった。眠気に襲われ、うとうととしながら、昨日山の中に見つけた家の事をぼんやりと考える。電話台に向かい、紙と鉛筆を取り、部屋へ戻った。その紙に「夜に見つけた、山の中の家へ入ってみる」と書くと、急いで山へと向かった。

いつもカグラと話す例の岩場に、カグラはまだ来ていないようだった。

僕がいつも座っている岩に紙を置き、近くにあった小石で紙をおさえる。僕はそのまま山を下り、一度おばあちゃんの家の方へと引き返した。

そして、あの夜、迷いながら帰ったルートを何とか思い出し、夜に見たあの家を目指した。

しばらくして、その家の近くの林に辿り着いた。

林の先には家の縁側が見える。縁側にあった襖は、全て開け放たれている。僕は足音を立てないよう、静かに縁側まで歩いた。

縁側に隠れるようにしゃがみこみ、家の中の音に耳をすます。しかし、家からは何一つ物音がしなかった。僕は靴を脱ぎ、縁側の下に隠すと、慎重に家の中へと入った。

その時、奥の方から戸を開ける金属音が鳴った。慌てて近くの棚の裏に隠れて、音の方へ意識を傾けた。すると、砂利を踏むような足音が、少しずつ外へと遠ざかっていくのが聞こえた。

家主−おそらく昨日見た宮司さんであろう−は外へ出かけたに違いない。念のため、外出したのを確認しようか、とも考えたが、時間がないため家の捜索を優先した。

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僕が隠れていた棚には、沢山の本が入っていた。棚を埋め尽くすほどの蔵書量に圧倒されてしまう。その中でも、ひときわ古そうな本に目をつけた。紙は変色し、今にも壊れてしまいそうなほどだ。

中身を見ても内容は全く分からないが、カグラなら分かるかもしれない。他にも古そうな本を二冊ほど取り、小脇に抱えながら家の中を慎重に歩き回った。

家の中を歩き回っている時、僕は違和感に気がついた。家の前には鳥居があり、手洗い場や、おみくじを引く場所など、近所の神社と同じような作りになっている。それなのに、家の中には、神社の雰囲気を漂わせるようなものが何一つないのだ。ただの古めかしい日本家屋としか言いようがない。

この家の不気味さに、鳥肌がたった。僕はこれ以上家の散策をするのが怖くなり、足早に縁側で靴をはくと、本を抱えて林に走った。

家を出る前、玄関の方から扉の開くような音がしたのは、きっと気のせいだと思った。

僕は本を背中に入れて隠し、家まで全力で走った。後ろを振り返る勇気は僕にはなかった。縁側から家に入り、自分の部屋まで走ると、居間の方から母の声が聞こえた。

本を布団の中にしっかりと隠すと、すぐに母のもとへと向かった。

昼食を食べた後、隠していた本を持って、僕は例の場所へと走った。

「大地、どうしてあんな無茶をしたんだ!危ない事はしないでと言ったじゃないか!」

僕が山に着くなり、カグラは説教を始めたので、僕は抱えていた本を見せて何とかカグラの興味を逸らした。

ボロボロになっている本をカグラに渡し、読んでもらった。カグラは首を捻りながら、解読を試みているようだった。

「ボロボロだし、読めないところも多い。それに、言葉遣いも今と違う。合っているか分からないけど、とりあえず意味を説明するよ。」

「ずっと昔、この村には神様がいなかった。だから、神様を作り、この山に収めた。そして、二十年毎に神に使いを送る。直訳だと多分こんな感じだと思う。」

「神様って作れるものなのかな。」

そういうと、カグラはもう一冊の本を手に取り、話しだした。

「この本は、当時の村人の日記みたいなんだけど、これに記述があったよ。どうやら、生まれたての子供を山に放置して神様にして祀ったらしい。だけど、神様を山に一人にするのは良くないとの事で、山に家を建て、それを石の壁で囲った場所を作った。そこで子供が暮らし、生涯を終える事が、神の使いとしての使命なんだって。」

「何だか言ってる事がめちゃくちゃじゃないか。人にひどい事しておいて、めでたくとか、おかしいよ。自分の子供を神の使いにして嬉しい人とかいるのかな。」

この山にある気味の悪さの正体がわかり、背筋がざわざわとした。カグラは淡々と話を進めていく。

「最後の一冊だけど、これも日記みたい。神の使いの制度に反対している人なのかな。すごく強い言葉で殴り書きされている。この村は狂ってる、出て行く、ってさ。」

「そりゃそうだろうよ。皆こんな制度に賛成できる訳がない。」

「僕もこの制度によって、神の使いにさせられてるって事なんだよね。」

僕は黙った。カグラは今、どんな気持ちでこれを読んでいたのだろうか。こんな制度さえなければ、カグラは今も家族と一緒に幸せに暮らせていたかもしれないのに。カグラにとって、こんな小さな壁の中で住む事が幸せな訳はない。僕の心の中は、霧がかかったようにモヤモヤとしている。カグラを助けたい、そう強く思った。

「この壁の中の秘密、結構分かったね。ありがとう、大地のおかげだよ。」

「そうだね、だけど、僕明日の午後には帰らなくちゃいけない。だから、一緒にいられるのは午前中だけなんだ。」

僕にもう時間は残されていない。明日、僕には何ができるだろうか。僕の言葉に、カグラは悲しそうな笑みを浮かべた。差し込む夕日が木の葉に反射して眩しい。

「あ、そうだ。この本どっかに隠したいんだけど、ここら辺にいい場所ないかな?」

すると、カグラは大きい岩を軽々と持ち上げながら、山の斜面を指差してこう言った。

「あそこのくぼみの部分に本を入れて、このでかい岩で塞いでしまえば分からないと思うよ。」

カグラと一緒に本を隠し終えた後、カグラはこちらを見て照れたように笑った。

「大地がいなくなると、寂しくなるな。でも、楽しい時間が過ごせてよかった。じゃあ、また明日。」

僕はカグラに手を振り、急ぎ足で山をおりていった。

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その途中、妙な感覚を覚えて僕は立ち止まった。

やはり、誰かに後をつけられている気がする。この感じは、もしかしたらカグラと一緒にいた時からあったのかもしれない。そう思うと気味が悪くて仕方がなかった。おそるおそる後ろを振り返ってみるが、案の定、誰もいない。

僕は、見えない追手を撒けるように願いながら、全速力で山道をおりていった。

風呂からあがり、部屋へと向かった。昨日の夜からの疲労が蓄積しており、今にも瞼が閉じてしまいそうだった。

その時、居間の方から、二人の声が聞こえた。激しい物音もしているので、僕は壁に耳をつけて、聞き耳を立てた。

「私はこうやって、何かある度に夜中に山を登り続けるお母さんの体を心配しているの。それと、今その話は関係ないでしょ!」

僕は、居間から響く、お母さんの怒った声に萎縮した。お母さんがこんなに声を荒げるのを聞いた事がなかったのだ。僕はより壁の方に近づき、襖に影が映らないようにして話を聞いた。

「声を荒げないでちょうだい。どうしてあなたはそんな汚い人間に育ってしまったの。私は神様が大事だと何度も何度も教えてきたのに。そうよ、都会に行って、人間の汚い泥を浴びて、下界の底辺になってしまったのが悪いのよ。」

「お母さんもこの浅牙の人たちも間違ってるのよ!こんなのおかしい!確かに小さい頃は、お母さんの教えは全部正しいと思ってたから、神様が全てだと思ってた。だけど、大学に行って、色々な人々に出会って、自分の考えが凝り固まった古いものであった事に気がついたの。浅牙の地区の洗脳から解けただけなの。大体、どんな神経をしてたら大切な我が子を捨てられるのよ!ジジイばっかの山に自分の子を捨てに行くぐらいなら、浅牙なんて出て行くに決まってるでしょ!」

「おだまり!洗脳だなんて、浅牙に古くから残るこの伝統を馬鹿にして何が言いたいの!それに、子供を捨てるだなんて人聞きの悪い事言わないでちょうだい!神の使いとして子供を送るだけでしょう。どうしてそれが出来ないのよ!どうして大地を神の使いにしなかったのよ!」

おばあちゃんの怒声を聞いて、僕は気が遠くなっていくのが分かった。急いで部屋に戻って布団を被り、顔を覆った。頭の中を二人の言葉がずっと回っている。僕の中にあった恐怖が、一気に襲ってきた。僕は怖くなって、布団の中で静かに震えていた。何も考えたくないし、言葉の意味を知りたくもなかった。そうしている間に疲労が襲ってきて、僕はそのまま眠りについた。

夜中、宮司さんに追いかけられる夢で目を覚ました。夢とは思えないリアリティさに、僕の手は震えていた。疲れているから変な夢を見てしまったんだ。僕はそう思う事にした。それ以上考えるのは、きっとよくないと思った。

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朝食の時間、おばあちゃんの姿はなかった。疲れていて、まだ眠っているらしい。僕は、昨日の夜の出来事を思い出しながら、静かにため息をついた。

あの山に足繁く通っているという事から、おばあちゃんは相当熱心な信者のようだ。おばあちゃんは、僕を神の使いにするつもりだったみたいだが、お母さんが逃げたせいで出来なくなり、代わりにカグラが神の使いにされた。僕も一枚噛んでいたのだ、この山の邪教に。

僕は例の場所へと向かった。早く行かなければいけないのに、足取りは重たく、なかなか進めない。本当は行きたいのに、行くのを拒んでいる自分がいる。>

時間はかかったが、結局はいつもの場所に辿り着いた。カグラは、具合の悪そうな僕を心配して、声をかけてきた。

「大地、顔色がよくないけど、何かあったのか。やはり一昨日、無理をしすぎたんじゃないか?」

僕は一言、大丈夫だよ、と言った後、昨日の夜の出来事を全て吐き出した。きっと、聞いている方も辛かったに違いない。それでもカグラは、僕の話を真剣に聞いていた。

「つまりさ、僕のお母さんが東京に逃げてしまったせいで、カグラは僕の代わりに神の使いにされちゃったんだよ。あの本が墨塗りになっていたのは、きっと最初は僕の名前が書かれていたからなんだよ。」

一通り話を聞き終えたカグラは、ため息をついた。

「そうだったんだね。カグラのお母さん、ちゃんと途中で目が覚めてよかった。」

「僕のお母さんは、喜んで僕を神の使いにしよう、って送り出したのかな。」

カグラは寂しそうな笑みを浮かべた。その顔は、木々の隙間からこぼれる光に照らされる。色白な肌に太陽の光が反射し、カグラは今にも消えてしまいそうだった。

もし僕のお母さんがこの村を出ていなければ、カグラはお母さんと幸せに暮らせたのかもしれない。そう思うと、胸が締め付けられた。僕は咄嗟にカグラの手を取り、口を開いた。

「なあ、カグラ。本当だったらさ、僕が壁の中でずっと暮らしてて、カグラはお母さん達と幸せに暮らしてるはずだったんだよ。それを、お母さんと僕が壊してしまった。今からでも遅くない、お母さんもきっとカグラの事待ってるよ。だから、一緒に逃げよう。警察の人とかに頼めば必ず助けてくれるよ。早くこの山から逃げよう。」

僕はカグラの手を引くが、カグラはその場から動こうとしない。ただ黙って下を見つめている。僕が何度手を引いても、カグラは決してこちらに動かなかった。そしてカグラは僕の方を見つめたて、静かに微笑んだ。

「こうやって、僕に真正面から向き合ってくれた人は今までいなかった。だから、大地がこう言ってくれて、僕は今すごく嬉しいんだ。本当にありがとう。でもね、大地のせいで僕がこうなっているっていうのは違うんだよ。そもそもこうなってしまったのは、昔の村人たちのせいなんだから。」

「それでもいい、何でもいい。僕はもうすぐこの村を出てってしまうから、今すぐ逃げないとダメなんだよ。一緒に逃げて欲しいんだよ。」

僕の気持ちは、果たしてカグラに伝わっただろうか。僕には分からない。

「大地、僕、このままでいいんだ。この村の人たちが皆おかしいように、僕ももう、おかしいんだよ。」

カグラの言葉の意味が理解できなかった僕は、戸惑いながらも再び詰め寄った。

「そんな事ない。好奇心で外に飛び出したカグラは、こうしてここで僕と出会って、僕と一緒にこの村の秘密を知って、この村自体が狂ってるって知った。ちゃんとそれが理解できているのに、どうしてそんな事言うんだよ。」

「確かに僕は、正常に見えるかもしれない。だけど、この生活が正常だと思っていた三つ子の魂が宿っているんだもの。こうやってさ、山の中に閉じこもって、兄ちゃんとも言えない人たちと生活を送って、下界のために神事をして、贈り物を貰う。僕はもうこの生活が板についてしまっているもんだから、これから先普通の生活に戻りましょう、なんて言われても対応できない。僕にとっては、この壁に囲まれた世界が、故郷であって、僕の一番の幸せだと思えてしまうんだよ。心の底からね。」

僕は静かにカグラの手を離した。

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カグラは、握られていた手を、もう片方の手で大切そうに触っている。カグラの心は本当に真っ直ぐで、迷いがなかった。カグラの心に秘めた葛藤は、決して僕には見えない。僕はそれが寂しかった。こんなにも近くにいるのに、やはり彼の心は分からない。僕らの間には、いつの間にか、見えない石壁がそびえ立っていた。

「君と出会ったあの日の、新鮮な好奇心に満ち溢れた僕ならば、迷う事なく君の手を握っていたよ。だけど、この三日間で僕は変わってしまったんだ。世界は複雑で難しくて、秘密には簡単に手が届いても、その先にある選択肢から、どうしても目を背けたくなるんだ。僕が見つけたのは、村の秘密だけじゃない。知りすぎた事への恐怖と、壁に閉ざされたこの世界に恋い焦がれる僕自身の気持ちなんだ。秘密を知って、それが間違っていると分かってもなお、僕はこの地を愛しているんだ。大地の手を払いのけてまで、僕はこの地を守りたいと思ってしまうんだ。その気持ちが何なのか、どこから来るのか、こうする事に意味があるのか分からなくても。」

話し終えたカグラは、そっと息をついた。僕らの間を、冷たい風が通り抜けていった。

「あの日の僕らが目指したものは、結局何だったんだろうね。今となっては、分からない。」

カグラは僕に向かって何か言ったものの、風が木々を揺らした音で、僕の耳にその言葉は届かなかった。

僕が聞き返そうとした時、下の方から誰かの声が聞こえた。心臓の鼓動が高鳴り、空気が一気に冷たくなる。僕はカグラに手を引かれ、咄嗟に上の方の岩場へと身を隠した。手の震えは止まらない。

人の話し声はやがて大きくなり、はっきりと聞こえるようになった。

「壁がどっか壊れてるらしいんだけど、この壁自体の作りが適当だしボロボロだな。この壁作ったの何代前だったっけか。こりゃ修繕費高いぞ。」

「それでもとにかく壊れてる部分は全部直せってよ。壁なんてあってもなくても、どうせ壁の中のやつらが出てくる事はないし、壁の外の奴らとも交流すんのによ。いい金づるだと思ってやるしかねぇよ、面倒くさい。ほら、こっち行くぞ。」

話しているのは、体つきのいい中年の男性二人だった。彼らは壊れている壁とは真反対の方向へと歩いていった。カグラは僕の手を握りながら、岩場から立ち上がった。釣られて僕も立ち上がる。カグラは僕の目を見つめながら、笑顔で話を始めた。

「大地、短い間だったけど、本当にありがとう。この三日間は、僕にとって一生の思い出だよ。今日で壁は塞がれてしまうから、もう会えなくなってしまう。だけど、どんなに離れても僕と大地はずっと友達だよ。」

僕はカグラの手を強く握った。何も出来なかった悔しさがこみ上げ、僕は悲しくなった。僕はその気持ちを殺し、カグラに笑顔を見せた。

「僕にとっても、カグラと過ごした三日間は宝物だよ。僕は明日、ここを発つ。カグラとは離れ離れになってしまうけれど、でも、心は繋がってる。僕、いつか必ずここに帰ってくる。そして、今度こそカグラの心を救ってみせるよ。」

「本当に、大地は優しい人だよ。僕のかけがえのない友達だ。いつか、きっとまた会えるよ。」

カグラは、僕の手を強く握りしめた後、静かに手を離した。

「さあ、本当にそろそろお別れしないと、僕ら共々見つかってしまう。あの人たちがあっちを見ている間に行こう。じゃあね、大地。また会おう。」

僕は小さく頷き、山の斜面を下った。振り返ると、カグラはまだ上の方で手を振っていた。僕はカグラに手を振り返した後、再び山をおりていった。もう一度振り返った時には、カグラの姿はもうなかった。そして、再び前を向いた時だった。

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山の斜面の下に、こちらをじっと見つめている宮司さんがいたのは。

「君と同じ匂いの人間がね、ある日私の家に侵入したみたいなんだけどもねえ。その日から、神社にあった大事な大事な書籍が、三冊見当たらなくなってしまったんだ。だから、君に聞こうと思ったらねえ、何だかこんな山奥にいるものだから、何をしているのかと思ってねえ。」

僕は震える手を必死に抑えながら、宮司さんと会話を続ける。

「虫取ったり、木に登ったり、してただけです。ただ山で遊んでるだけなんで。」

「私はねえ、先祖が始めてしまった呪いを、未来永劫守るために今必死になって探してるんだよ!早く、早く本の隠し場所を教えろ!あれを守らなくちゃいけないんだ!」

老いたように見えた宮司の力はとても強く、掴まれた腕がものすごく痛む。僕は抵抗しながらも必死に答える。

「知らない!手を離せ!ていうか、呪いってなんだよ!呪いを続けていい事ある訳ないだろ!」

「ガキのお前には分からんさ!私さえ幸せであるためなら、私にさえ呪いが降りかからなければいいなら、呪いなんて解く必要はない。少しの犠牲で、生涯幸せに生きられるのなら、ちょっと歪んだ事をしてでも、それでいいんだよ!」

宮司さんの目の色は、最早人間の目ではなかった。

先祖による、積もりに積もった呪いに宮司さんは狂わされてしまったのか、それとも宮司さんは自らを狂わせたのか。僕には何も分からない。

僕の抵抗力が弱くなると、宮司さんは僕の腕を引いてどこかへ連れて行こうとした。あまりの力の強さに、僕は絶句した。

自由な方の手で何かを掴もうにも、宮司さんに引き剥がされてどうにも出来ない。もうだめだ、諦めかけていた時だった。山の上から岩が転がり落ち、宮司さんの足元に直撃したのだ。

宮司さんの手が離れた僕は、すぐさま宮司さんから距離を取った。掴まれていた腕には、真っ赤な跡が出来ていた。

宮司さんが痛そうに足をさすっていると、また次々と岩が転がってきた。その岩は僕の方にもいくつも転がってきたため、慌てて木に登って必死に避ける。宮司さんは岩を避けれず、背中に当たった痛みで転倒した。

僕は木の上から、岩の転がってくる上の方を見た。案の定、岩を投げていたのはカグラだった。

カグラはこちらに気がつくと、口をぱくぱくとさせながら「逃げて」という合図をくれた。僕はすぐに山をおりた。後ろからは未だかつてないほどの邪悪な気配が感じられたが、再び岩が転がってきた時にはその気配もなくなってしまった。

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電車に揺られながら、僕は昨日までの事を思い出していた。カグラと過ごした日々は本当に短く、あっという間に駆け抜けていった。あんなに楽しくて、だけれども、とても悲しくて切ない充実した時間は、おそらくもう無いだろう。

あの日、家に戻ると、居間で二人が言い争いをしているのが見えた。僕は家に入らず、物陰から二人の姿を見ていた。僕はおばあちゃんがとても怖く感じた。神様について話しているおばあちゃんは、まるで感情が無いロボットのように、ひたすらお母さんをまくし立てていたのだ。お母さんは泣きながらおばあちゃんを説得していたが、どんなに叫んでも、その声はおばあちゃんには届いていないようだった。

僕は悲しくなって、その場を後にした。お母さんが玄関先に出てくるのを、近くの木に登ってじっと待っていた。結局、言い争いは長引いたようで、僕はしばらくそこで待つ事となった。

そして今、母と一緒にお弁当を食べながら電車で家へと帰っている。お母さんの口数は少ない。喧嘩の様子からしても、もうおばあちゃんの家に来る事は二度とないだろう。そう思うと、少し寂しいような気もしてくる。変な村であった事には変わりないが、のどかで自然に満ちあふれたいい場所ではあった。

僕は、カグラと交わした約束を思い出した。窓の外を過ぎ去っていく景色に別れを告げながら、いつかあの約束を果たせるようにと願った。

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電車のアナウンスを聞き、降車駅を確認する。浅牙駅、ここで間違いない。十数年ぶりに訪れた浅牙は、駅が少し改装されたものの、あまり前と変わったようには見えなかった。

その理由は、駅を出て道を歩いているとすぐに分かった。新しい建物が増えているが、あの時からあった田や畑は今も残っているのだ。そこには若者の姿も多く見られ、田舎の風景としては珍しいと思った。

僕はおばあちゃんの家には寄らず、村に着くなりすぐに山の方へと向かった。

すると、奥の方に整備された山道があるのが見えた。僕はそちらの道に入り、山を登った。なぜこんな奥まっている山に道を整備したのかと考えた僕は、山道の途中で立ち止まり、持っていた携帯で浅牙村について調べた。

調べてみると、新しい村長が赴任したという記事が目に入った。それは数年前の記事のようだったが、この村長が今も浅牙を管理しているとの事だった。

過疎化と高齢化が進んでいるのを危惧した村長が、若者を勧誘する政策に踏み切り、村の開発を進めているらしい。この山道が出来た理由も、気軽に足を運びやすくするためなのだろう。僕は少し寂しい気持ちになって、山道を進んでいった。

案の定、山頂は石の壁など何一つない、レジャースポットとなっていた。あの時カグラと話していた場所も、そこにあった岩も、今では跡形もなくなっている。だが、地面には、石の壁があった名残だと思われる跡が残っていた。僕はそれを丁寧に指でなぞる。懐かしいような、寂しいような複雑な気持ちになった。

山を下りながら、宮司さんのいた神社を探したが、それらしき場所には重機が入っており、工事中となっていた。建物があった面影は何もなかった。

あまり情報が得られなかったため、カグラの居場所を聞きに村役場に寄った。

村役場には、中高年の職員が多かった。僕はあの山にいた、神の使いの人たちがどこに保護されたか聞こうとした。

しかし、彼らの中に、この旧制度があった事自体を知る人が少なく、結局カグラの消息を掴む事は出来なかった。

このまま帰るのはもったいないと思った僕は、仕方がなくおばあちゃんの家へ向かった。熱心に神の使いを信仰していたようだし、もしかしたら何か情報を持っているかもしれない、という期待もあった。

おばあちゃんは僕を歓迎してくれた。僕はおばあちゃんと一緒に縁側に腰かけ、一緒にスイカを食べた。そこで、僕はあの山についての話を始めた。

「ねえ、おばあちゃん。あの山さ、今は開発されて無くなったけど、前まで神様の使いが住む家があったんでしょ?その人たちは、今はどうなったの?」

おばあちゃんは、一気に落胆した表情を見せ、ポツリポツリと口をついた。

「せっかくの伝統だったのにねえ。使いの方々のおかげで、この村があったのに、どうして無くしてしまったんだろうよ。全ての元凶は、忌まわしきあの村長のせいだよ。神聖な使いの方々が、あの男によって下界に引きずり降ろされたと聞いて、どれだけの人が胸を痛めた事か。村長は、この事を村民の保護のためだとか何とか言っているけど、一体全体どうしてそんな無礼な事ができるんだろうね。」

僕は適当な相槌を打つと、おばあちゃんの顔から視線を外し、空を見上げた。生暖かい風が吹き、風鈴が揺れる。頭が痛くなったのは、きっと冷たいスイカのせいだ。

結局、物や制度が変わっても、人々の思いや考えは、そう簡単には変わらない。カグラは今、保護されて幸せに生活しているのだろうか。実母と会う事は出来たのだろうか。今もどこかで、神の使いとして、閉じ込められて生きている可能性だってある。どんなに考えても、分からないものは結局分からない。

そして、僕は思った。彼の心の中には、決して消えないこの村の呪縛が残っているのだと。例え、どんなに幸せになったとしても、その呪いが心から消える事はないだろう。いつか彼が、その苦しみを惜しみなく吐き出す事ができる相手と、巡り会えるだろうか。口に残ったスイカの種を皿の上にバラバラと吐き出しながら、僕はそんな事を考えていた。

−完−

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